『サマーウォーズ』(@鹿児島ミッテ10)


【解説】(allcinema より)

 2006年の「時をかける少女」が評判を呼んだ細田守監督が、再び奥寺佐渡子(脚本)、貞本義行(キャラクターデザイン)とタッグを組み、気弱な理系少年の思いも寄らぬひと夏の大冒険を描くSF青春アドベンチャー。ひょんなことから片田舎の大家族と夏休みを過ごすハメになった17歳の少年が、仮想空間に端を発した世界崩壊の危機に立ち向かう姿を家族の絆を軸に迫力のアクション満載で描き出す。声の出演は神木隆之介桜庭ななみ富司純子
 仮想都市OZ(オズ)が人々の日常生活に深く浸透している近未来。小磯健二は天才的な数学の能力を持ちながらも内気で人付き合いが苦手な高校2年生。彼は憧れの先輩、夏希から夏休みのアルバイトを頼まれ、彼女の田舎、長野県の上田市を訪れる。そこに待っていたのは、夏希の親戚家族“陣内(じんのうち)家”の個性溢れる面々。この日は、夏希の曾祖母で一族を束ねる肝っ玉おばあちゃん、栄の90歳の誕生日を祝う集会が盛大に行われていた。その席で健二は夏希のフィアンセのフリをする、というバイトの中身を知ることに。そんな大役に困惑し振り回される傍ら、その夜健二は謎の数字が書かれたケータイ・メールを受信する。理系魂を刺激され、その解読に夢中になる健二だったが…。


■写真は、先着10万名に配られたポストカード(角川文庫版の表紙と同デザイン)。映画を観たあとに判る大道具&小道具がいっぱい。特に、夏希が手にしている茶色いものの正体は、観た人じゃないと判るめぇ。…でも、カズマが持っているものは何…?


■『時をかける少女』から3年。少ない本数を細々と回しながら口コミの評判と(結果的に)プレミア感が高まっていった前作の状況とは大きく異なり、全国の主要映画館で堂々の夏休みロードショー。初日の今日がファーストディ/1000円サービスの日だったこと、前日の金曜ロードショー魔女の宅急便』にて特報が流されたこと(らしい。観てないけど)もあってか、僕が観た2回目の回は劇場満席。その大半は夏休みの学生さんで、客層の広がりを感じた。


■異なるのは上映の状況だけではない。本作に『時かけ』のようなテイストを期待してはいけない。
”ナイスの日”の閉じた円環の中を真琴ひとりがループ姿に象徴されるように、『時かけ』が真琴という一個人の決意と成長を一点突破で描いたエモーショナルな作品だったのに対して、本作は【健二/夏希】→【陣内家】→【全世界】の絆が形成されていく姿を物量作戦とも言える大アクションとスペクタクルで描くエンターテイメント作品。
そして個人的には、『時かけ』に描写が欠け落ちていた、細田守が考える【困ったときの家族の機能】を本作がフォローしてくれた、とも思っている。


■物語の設定は少しだけ未来の2010年の夏。ネット内の仮想社会【OZ】上にて殆ど全世界の人間がアバターを作成し、携帯電話も固定電話も対戦ゲームもそのアバター経由でやりとりが行われ、さらには現実社会のインフラ管理にも大きく食い込んでいるという設定が前提。


しかし、その設定以外は、あらゆる意味で【今】の映画。↑の解説では”SF”ってあるけど、仮想世界をSFと呼ぶのは年寄りの感覚だよ。

青空と入道雲高校野球が似合う【今】の季節、
長野県上田市の旧家の大邸宅を舞台に、
【今】作の公開日”0801”が世界を救う重要なキーワードとなる。

危機的状況が差し迫ったとき、
【今】家族はその繋がりにどのような価値を見出すのか。
【今】世界はどんな手段・目的で繋がり得ることができるのか。

【今】の情報/社会インフラに起こりうる恐怖に、
【今】使えるあらゆるツールを駆使して立ち向かう家族の姿を、
【今】のアニメーション技術をフルに使った表現手法で描く。


■『時かけ』に寄せて細田監督は言った。
「当時、少女たちは、「時をかける少女」を読み、未来を夢見た。そして今、かつて未来と夢見られた21世紀に僕らはいる。けれど、決してあの頃、少女たちが憧れた未来ではないはずだ。では、夢見たはずの未来の姿は、どこへ行ってしまったのか?(中略)時代によって変わっていくものと、時代を経ても変わらないものについて考えてみたいと思う。」
その問いかけへの答え【強い意志の向かう先にいつも未来はある】というテーマは『時かけ』も今作も共通している。
そして今作で【強い意志を育むのは家族であり、家族を守りたいという意志は何にも勝る】という重要な追補が行われた感じ。
「いちばんいけないのは、おなかがすいていることと、ひとりぼっちでいることだ」で、涙。
わたしたちの家族を守ってください」で、涙。


■脚本のつくりとして、基本的なことではあるのだけど、2時間の尺をちゃんと4等分して、
【起】:物語世界の設定説明/物語導入/主要人物紹介・侘助叔父という不況和音/謎のメール
【承】:危機的状況の発現→黒電話の活躍→一次収束、謎の解明
【転】:犠牲、災厄、集結、対決、封印
【結】:絶望、食事、信託、コイコイ、パンチ、お願いしまーす!(以上うろ覚え)
というバランス配分が結果として話はこびのスピード感を加速させるものとしていて、その結果、最終対決の【カズマ】→【夏希】→【健二】の見せ場の積み重ねには、三段重ねの豪華なお重をご馳走になった満足感。


■弱点もある。家族の一人ひとりに焦点を当てることには当然無理が生じるし、絞り込んだ数人のキャラの背景や感情起伏も、所々観客側で補わざるを得ない箇所もある。例えば、健二が敵に立ち向かうきっかけとなったはずの縁側のシーンで、夏希の感情(=栄への思い)が今ひとつ説明不足なので、号泣する夏希の姿は「ああこれって『時かけ』の屋上での真琴の2番煎じだな」という批評的な感覚がチラついたりするし、逮捕された健二が別れ際に「僕には家族がいないので、楽しかったです」と言うのも何だか唐突すぎる。
俳優陣は『時かけ』でほんのチョイ役だった中村正御大や永井一郎御大、といったベテランが脇を固めるも、谷村美月の声はカズマのルックスの中性感もあって、中学生男子には聞こえない。ありゃどう観てもイケメン女子だ。


■そんなマイナス要素を加味しても、見所いっぱいの【夏休み映画】の快作。花札ブーム、来るかしら…?

昔観た映画の感想・筋少ファンに薦めてみたい映画セレクト

オーケン詩世界の通低音とも言える(と僕は思っている)【孤独な魂はどこに行くのか、どこに行けばよいのか】という命題から思い浮かんだ4本。


ドニー・ダーコ(’00)

ドニー・ダーコ [DVD]

ドニー・ダーコ [DVD]

【解説】
 2001年のサンダンス映画祭で「メメント」「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」とともに話題を呼んだ異色の青春ムービー。これがデビューとなるリチャード・ケリー監督が青春時代の若者の心に潜む闇をユニークな手法で見みごとに映像化。17歳の少年ドニー・ダーコが体験する[28日6時間42分12秒]の奇妙な出来事の連続と増幅する謎の数々、そして衝撃の結末とは? リバース(反転)ムービーと呼ばれ、全米では熱狂的なマニアを生み出した。ドリュー・バリモアが脚本に惚れ込み、出演のみならずプロデュースも担当。
 1988年、アメリカ・マサチューセッツ州ミドルセックス。ある晩、高校生ドニー・ダーコの前に銀色のウサギが現われる。ドニーはウサギに導かれるようにフラフラと家を出ていく。そして、ウサギから世界の終わりを告げられた。あと28日6時間42分12秒。翌朝、ドニーはゴルフ場で目を覚ます。腕には「28.06.42.12」の文字。帰宅してみるとそこには、ジェット機のエンジンが落下していてドニーの部屋を直撃していた。何がなんだか分からないながら九死に一生を得たドニー。その日から彼の周囲では、不可解な出来事が次々と起こり始めた。
allcinema onlineより)


 青系の色調と80年代のヒット曲にのせて、流れるようなカメラワーク/スローモーションによりなめらかに提示されるドニー・ダーコの世界。どこまでが現実でどこからが思春期の空想(≒悪夢)なのか明確な線引きは示されず、巨大な気ぐるみのウサギや人体から流れだす流動体等のわけのわからないモチーフが脈絡なく、かつ意味ありげに登場する。それらのモチーフは青年期の心理学的メタファーとしていろいろな解釈はできそうだけど*1、あえて解釈しようとせずにそのまま【自分だけの世界が現実世界と相容れない歪みから発生し存在する不条理】として映画の最後まで抱えておくのが正しいのかもしれない。


「結局居場所などなかったんだ」ということが美しく残酷に示されるラストシーンで、一緒に観ていた相方はエンドロールが終わってもずっとすすり泣いていた。



『マジック』(’79)

マジック [DVD]

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【解説】
 人形を使った腹話術で人気を博した元手品師のコーキーが、マネージャーの手をはなれ突然故郷へ帰ってしまう。彼はそこでかつての恋人である人妻ペギーと再会し愛を育むのだが、マネージャーはしつこくコーキーを追い回す。やがてコーキーは腹話術の人形に命令されるままにマネージャーを殺してしまう……。W・ゴールドマンが自身の原作を脚色したシナリオは技巧に富み、ユニークかつクォリティの高いサイコ・スリラーを作り出しており、A・ホプキンスの神経症的芝居もそれに応える怪演。
allcinema onlineより)

 『大統領の陰謀('76)』のW.ゴールドマンによる脚本、監督は『ガンジー('82)』のリチャード・アッテンボロー、『羊たちの沈黙('91)』よりずっと若いアンソニー・ホプキンス、というオスカー受賞者トリオにも関わらずその存在自体が殆ど知られていない傑作。でもオーケンは年代的にもこの映画を(テレ東のテレビ洋画劇場で)見ているのではなかろうか。
 気の弱い腹話術師がその人形(に託した人格)に自分の行動を支配され、そして…という『文豪ボースカ』のシリアス版だと思っていただければ。モチーフ的にはそれほど目新しいものではないけれどサスペンス演出は手堅い。そして何よりも、アン・マーグレットが演じる主人公の幼馴染の存在によってこの映画はキャッチコピーである"Terrified Love Story"として昇華している。A.ホプキンスの不器用さを受け入れる彼女の存在が、悲劇のラストをより哀しくする。

 ほんのあと少しで孤独な心は救われたかもしれないのに。本当に寂しいのは「自分は孤独だ」と思うことではなくて、自分の孤独を受け入れてくれる存在に気づかないことだ。



『愛に関する短いフィルム』(’88)

愛に関する短いフィルム [DVD]

愛に関する短いフィルム [DVD]

【解説】
 <見る>という行為を通して愛を描いた純愛映画。郵便局で働く19才の少年トメクはマグダという女性に密かに恋焦がれていた。そして彼は毎夜8時半になると、アパートに帰ってきた彼女を向かいの自分の部屋から望遠鏡で覗き続けるのだった……。モーゼの十戒の第6の戒律“汝、姦淫するなかれ”をモチーフに、精神と肉体の一体化なしに愛は存在するのかという監督独自の角度から描いた純愛映画。
allcinema onlineより)

 ポーランドの巨匠、クシシュトフ・キェシロフスキ監督が、全10話から成るTVシリーズ『デカローグ』の1編『ある愛に関する物語』を映画作品として再編集した作品。
 DT少年が妄想の対象と正面から対峙したときに、ふたつの魂はどのように互いの存在を捉えるのか。キシェロフスキ監督の演出手法は、市井の人々の日常のディテールをひたすら積み重ねて最後に初めて、その積み上げられた高さから見える世界に気づかされる…というスタイルなので、途中で寝たりせずに最後まで頑張れば得られるものも大きい。
 かつて少年が自分を覗いていた場所から、女は自分の部屋を望遠鏡で覗く。そしてそこに彼女が観たものは…。ふたつの孤独な魂が救済されるラストシーンは、思い起こすたびに喉に小石がつまります。
他のキエシロフスキ関連の作品も、【魂の孤独、そしてその行方】を扱った作品が多いので、筋少ファンにはぜひ観てほしい。…と言うより、自分自身が『デカローグ』を全部観なければいけないのだけど。


…と言ってるそばからキェシロフスキ監督のほぼ全作品を含む特集上映がユーロスペースが決定。広島ではあるのかな…お近くの方はぜひ!
http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=205



『ヘヴン』(’02)

ヘヴン 特別版 [DVD]

ヘヴン 特別版 [DVD]

【解説】
 「トリコロール」三部作などの巨匠クシシュトフ・キエシロフスキーの遺稿脚本を「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ監督がケイト・ブランシェット主演で映画化した、一組の男女の運命的な愛を描いたラブ・ストーリー。共演は「ギフト」のジョヴァンニ・リビシ。破滅へと向かう男女の愛の逃避行が静かに緊張感溢れるタッチで綴られる。
 イタリア・トリノ。英語教師のフィリッパは高層ビルに忍び込み時限爆弾を仕掛けた。彼女の目的は一人の男を殺すこと。彼女の愛する夫を死に至らしめ、大切な教え子たちを不幸へと導いた麻薬密売人。フィリッパはこれまで何度も男を逮捕するよう憲兵隊に訴えたが相手にされず、自ら行動に出たのだった。やがて、彼女の自宅に憲兵隊が突入する。彼女は抵抗することもなく憲兵隊に捕えられる。憲兵隊での取り調べが始まると、フィリッパが英語しか話そうとしないため、その場に書記として同席していた新人憲兵フィリッポが通訳を買って出る。尋問が進む中で、フィリッパは男が死を免れ罪なき4人が犠牲になったことを知らされ、ショックのあまり気を失ってしまう。フィリッポはそれを為すすべもなくただ見つめていた…。
 静謐にして濃密、寡黙でありながらなんとも豊かな心の交流。後半、トスカーナの美しい風景の中で展開する二人の逃避行は、無駄な音楽を極力廃してどこまでも静かに(二人が踏みしめる砂利の音がこんなにも愛しいものだとは!)緊張感たっぷりに、それでいて優しさと温もりをもって描かれる。主演の二人が、抑えた演技ながら内面から滲み出る感情を見事に表現して素晴らしい。また、出番こそ少ないものの、世間知らずで純粋な我が子を優しく見守る父親を演じたレモ・ジローネも印象深い。
allcinema onlineより)


 孤独な爆弾犯に恋した若き警察官。二つの孤独な魂は必然のように惹かれあい、愛し合い、そして─。 モチーフがすでに筋少っぽいのだけど、『トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く』を聴いて”あぁ!!”と思い出したのが『ヘヴン』だった。
 トリノ市外の空撮(ゴッドアングル=神の視点)から始まるオープニングと対を成すような、再び神の視点に戻っていくラストシーン。暗転しエンドロールが流れ場内の灯かりが点いてしばらくたっても、客席で嗚咽が止まらなかった。それから約6年後、『トリフィドの日が来ても─』の「世界からはこぼれたけど/流星の雨に紛れ/トリフィドの幹にかけのぼり/そして宇宙まで行けるよ」を聴いて、このラストシーンを思い出してまた泣いた。

 ジョヴァンニ・リビージとケイト・ブランシェットのコンビは、サム・ライミの『ギフト』でも共演。この中でのリビージの役どころとラストシーンがまた泣ける。レトリックではなくてまさに【魂の救済と昇華】が描かれている。本当は『ギフト』も筋少関連映画の5本目に加えたかったけど、本筋のテーマが少し違うので割愛。



以上はどれも過去に一回観たきりで細かい内容はうろ覚えなのだけど、どれも好きな(強く心に残った)映画なので、今の自分自身がぜひ観返してみたい4本でもあります。
筋金入りの筋少ファンの方の感想や、他にこんな映画あるよー、という意見もぜひ聞いてみたいです。

*1:市販DVDではボーナスデータとしてそれらの解説が収録されているそうだ

『ダークナイト』の昔の感想と今の感想

【解説】
メメント」「プレステージ」のクリストファー・ノーラン監督がクリスチャン・ベイルを主演に迎えて贈る新「バットマン」シリーズの「バットマン ビギンズ」に続く第2弾。狂気の悪“ジョーカー”の登場により自らの存在意義そのものを問い直されることになる闇のヒーロー、バットマンの心の葛藤と、正義を守るための決死の戦いをリアルかつダークに描き出す。なお、そのジョーカーを圧倒的な存在感で怪演したヒース・レジャーは、本作撮影終了直後の2008年1月に28歳の若さで惜しくもこの世を去った。
 ゴッサムシティでは、バットマンとゴードン警部補が手を組み、日々の犯罪に立ち向かっていた。だが、白塗りの顔に裂けた口の“ジョーカー”と名乗る正体不明の男が闇の世界で頭角を現わし、バットマンを嘲笑うかのごとく次々と凶悪事件を引き起こしていく。そんな中、新しく赴任した地方検事のハーベイ・デントは正義感に燃え、バットマンとも協力して犯罪の一掃を強力に進めていく。それでも凶行の手を緩めず街を混乱に陥れるジョーカーは、いよいよバットマンたちを窮地に追い込むための謀略を開始するのだった。(allcinema onlineより)

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『時をかける少女』(2006.08.25 福山シネマモード)

サマーウォーズ』公開を待ちわびて、昔の文章の修正版。

【解説】(allcinema ONLINEより)
これまでに何度も映像化されてきた筒井康隆の名作ジュブナイルを初のアニメ映画化。あるきっかけで、過去に遡ってやり直せる“タイムリープ”という能力を身につけたヒロインの淡い恋の行方と心の成長を丁寧な筆致で綴る。監督は「ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」の細田守
 明るく元気な高校2年生、紺野真琴は、優等生の功介とちょっと不良な千昭と3人でいつもつるんで野球ばかりして楽しい毎日を送っていた。そんなある日の放課後、真琴は理科準備室で、突然現れた人影に驚いて転倒してしまう。その後、修復士をしている叔母・芳山和子のもとへ自転車で向かった真琴は、ブレーキの故障で踏切事故に遭ってしまう。死んだと思った瞬間、真琴はその数秒手前で意識を取り戻す。その話を和子にすると、和子は意味ありげに、それは“タイムリープ”といって年頃の女の子にはよくあることだと、冗談とも本気ともつかない説明をするのだった。最初は半信半疑だったが、いつしか使い方を覚えて些細な問題でも簡単にタイムリープで解決してしまい、すっかり調子に乗る真琴。そんなある日、真琴は千昭から突然の告白を受ける。3人の友だち関係がいつまでも続くと思い込んでいた彼女は、動揺のあまり、タイムリープで告白そのものをなかったことにしてしまうのだが…。

■『時かけ』がアニメ映画に─。知ったのは、書店で立ち読みしたQuickJapan「SF特集」号の、細田守監督のインタビューより。
アニメ界の動きには疎いので細田監督のことは全く知識なく、”また難儀なことするなぁ”というのが、映画化を知ったときの感想。
映画マニアとしても知られる筒井康隆*1の眼鏡にかなう作品となるのか、しかもアニメで─?と気になりインタビュー記事を読んだが、その筒井氏が好評価を行っていて、それ以来少し気になってはいた。

■広島での公開は首都圏公開から1週間遅れで広島バルト11にて。
しかしアニメ映画にありがちな、朝の回のみとかの半端な時間の上映になってしまい時間を工面してまで見に行くかどうかの決心はつけかねていた。
そしてネットの上で圧倒的な高評価*2が伝わってくるころには広島での公開は終わり、最寄りの映画館は福山市のみ。
もうチャンスはないかもしれんと意を決し、知らない街の映画館へ。

■…めっさ良かった。
真っ直ぐで斬新で初々しくて潔くて大胆で繊細で清々しくて凛々しくて。
声を務める若手俳優ちの真っ直ぐな演技、前半のコミカルな演出が中盤のサスペンスを引き立てる巧みな脚本展開、そして”勇気を持って未来に踏み出すことで人は成長する”というメッセージ。
冷静に考えるとつじつまの合わない消化不良箇所も少々あるけど、中盤移行の気持ちを揺さぶる展開の前には些細なことはどうでもよくなる。
観たあともずっと、ひとつひとつのシーンが頭の中をぐるぐるして、それらにケリをつけずにはいられない。

*1:小学校高学年から中学校くらいまでいっとき筒井康隆にハマっていた。 『にぎやかな未来』『アフリカの爆弾』などの角川文庫の白い背表紙シリーズを買ったり、『家族八景』『七瀬ふたたび』は中学校の頃通っていたピアノの先生の部屋の本棚にあったものを読んでいた。 そのころは”ツツイスト”なんていう言葉はなかったと思う。

*2:例えばYahoo!映画のユーザーレビューにおけるあまりの高評価ぶり。 そもそもあのレビュー欄に書き込むようなクラスのレビュアーにシビアな批評眼を期待してはいけないが、それでも”☆5つ”をつける気持ちはよく判る。作品の内容のよさは勿論、今夏アニメの本命馬の『ゲド戦記』がその前評判やジブリのブランド力に見合うだけの説得力が持てなかったため、ノーマークの『時かけ』が相対的に際立ってしまったこともある。

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『セックス・イズ・ゼロ』(2005.07.24)

メロさんのブログで【断食系男子】という定義を目にしてすぐに【男色系男子】というカテゴリが頭に浮かんだのですが特に真新しいネタがあるでもなく。
ただ、【色】=【セックス】という語彙なのだなぁ、ということにふと思い浮かんだ、
「色即是空」⇒『セックス・イズ・ゼロ』のこと。

セックス イズ ゼロ [DVD]

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冒頭から男子大学生のオナニーネタ→男子寮が爆発、中盤でもヒロインのビーチーク透ーけーとか鼻血ブーとか、これでもかこれでもかの力ネタ満載度合いが、70年代の日本映画の悪ノリっぷりのようです。で、それは嫌いじゃないですよ。
監督は『マイ・ボス マイ・ヒーロー(2001)』のユン・ジェギュン。『マイ・ボス〜』とキャストもダブっているので、『マイ・ボス〜』から続けてみたら、あぁあいつらちゃんと高校卒業して大学入学できたのね〜、という余計な親心も少し芽生えたり。

『007/慰めの報酬』QUANTUM OF SOLACE

【解説】
前作「カジノ・ロワイヤル」に引き続きダニエル・クレイグジェームズ・ボンド役に扮した人気サスペンス・アクションのシリーズ第22作。本作は「カジノ・ロワイヤル」エンディングの1時間後から始まるというシリーズ中異例の続編。初めて運命を感じた女性を失い復讐心に駆られたボンドが、諜報員である自らの使命との間で揺れながら闇の組織へ立ち向かう姿をリアリスティックに描く。監督はこれが初のアクション作品演出となる「チョコレート」「ネバーランド」のマーク・フォースター
何者かの陰謀によって愛するヴェスパーを亡くし、復讐を誓ったボンドは、彼女を操っていたミスター・ホワイトを捕らえ、真相を究明すべく尋問する。そして、彼の背後には世界中の有力者や諜報機関をも取り込む巨大な組織が存在していることを知るのだった。その調査のため、まずハイチに向かったボンドは、そこでカミーユという謎めいた女性と出会う。さらに彼女を通じ、組織の幹部ドミニク・グリーンを突き止めるボンド。グリーンの表の顔は、環境保護のため土地を買収する慈善団体“グリーン・プラネット”のCEO。だがその裏では、ボリビアの土地に眠る貴重な天然資源の独占を目論み、それを機に世界支配を企んでいた。上司Mから、グリーンの陰謀を阻止する任務を私情を挟まず遂行せよ、と念を押されるボンド。ところが、カミーユも実はグリーンと共謀するボリビアの将校に愛する家族を殺され、復讐の機会を窺っていると知ったボンドは、彼女と共にグリーン打倒へ奔走していく。
allcinema onlineより)


映画『007/慰めの報酬/QUANTUM OF SOLACE《PPC025》』ポスター

『007/カジノ・ロワイヤル』CASINO ROYALE

【解説】
 過去4作にわたってジェームズ・ボンドを演じてきたピアース・ブロスナンに代わり、新たに抜擢されたダニエル・クレイグ扮する6代目ボンドが初登場するシリーズ通算21作目。イアン・フレミングによる原作シリーズの原点『カジノ・ロワイヤル』を、本家シリーズとしては初の映画化。“007”として初めての過酷なミッションに挑む若きジェームズ・ボンドの活躍と“運命の女”との切ない恋の行方を描く。監督は「007/ゴールデンアイ」「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベル
 殺しのライセンス“00(ダブル・オー)”を取得するため、昇格最後の条件である2件の殺害を実行したジェームズ・ボンドは見事ダブル・オーの称号を得る。そして、犯罪組織の資金源を絶つという最初の任務に乗り出すのだった。まずはマダガスカルで爆弾所有の男を追い、そこから世界中のテロリストを資金面で支えるル・シッフルなる人物が一連の案件に深く関わっていると判明。続いてボンドは、バハマ、マイアミで武器売人と航空機爆破の阻止に奔走し、いよいよル・シッフルへ辿り着く。すると、ル・シッフルがモンテネグロの“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出ることが明らかとなり、ボンドは更なる陰謀を阻止せんと現地へ向かうのだった。しかし、そんな彼のもとには、財務省からお目付役として美女ヴェスパー・リンドが送り込まれる。最初は彼女に対して懐疑的だったボンドだが、危険を共にする中で次第に心惹かれていく…。
allcinema onlineより)

HD Casino Royale Gunbarrel with Opening 720p

Casino Royale "You Know My Name" Music Video